値段も手ごろで予算をかけたくない人にうれしいシーチング生地の特徴をまとめました。
日ごろシーチング生地と触れ合い、入園入学グッズを製作・販売している私がいろいろな種類のシーチング生地の魅力を詳しくご紹介します。
- 敷物、ベットシーツ、枕カバー
- トートバッグやエコバッグ
- バッグの裏地
- 巾着やポーチ類
- シュシュ
など、さまざまな小物類、シーツ、布団や枕カバーなどの寝具にも使われています。
ベットシーツなどの大きいサイズのアイテムを作ると生地を多く使いますが、安価で手に入るので手軽に裁縫初心者さんにも試しやすい生地です。
アイテムを作るにしても向き・不向きがあります。生地の特徴を知ることで、どんな雑貨や小物、洋服をチョイスするといいんだろう、という基準になります。
シーチングとは生地の織り方の一種
シーチングとはコットンの平織物のことをいい、生地自体を「シーチング」と指すこともありますが、実は生地の織り方を指します。
太番手で経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に浮き沈みさせて織られているため、織り目はやや粗い生地です。
経糸 (たていと)と緯糸(よこいと)が交互に交差する最も基本的な織り方で頑丈で摩擦に強い。
染色や脱色をまだ行っていない、晒し(さらし)の工程をしていない白地の平織のひとつ。頑丈で摩擦にも強く、平織は多く使用されている織り方です。
キルティングにもシーチング生地が使われています。三層の厚手のキルト生地でも通気性がよく、目が粗いためサクサク縫いやすい生地。
シーチング生地の特徴
色柄豊富でどこでもかんたんに手に入れやすいシーチングは、最も安価なさらし綿布の一種で、名前の由来は「シーツ用の生地」という意味から。
無地だけでなく、柄物も多く充実しています。
メリット
- 安価で手に入れやすい
- 色柄も豊富
- 薄手でやわらかい
- 通気性がいい
- ラクラク縫いやすい
織りの密度が低いため、通気性がいい生地です。針の通りも良く、裁縫初心者さんでもラクラク縫いやすい。
値段が安いのに、かわいい柄や無地など、豊富にそろうシーチングはお気に入りがすぐに見つかるはず!カラーバリエーションも多く、どれにしようか悩んでしまうかもしれませんね。
やわらかいので手縫いにも向いています。
デメリット
- 縮み・ゆがみ
- シワ・毛玉になりやすく、アイロンがけが必要
- ざらつきがある
織りの目が粗く通気性がいい反面、洗濯をすると縮みやゆがみが出がち。製作前には水通しをして先に縮ませておくことでゆがみを最小限におさえることができます。
シワになりやすく、アイロンがけは避けられません。お手入れが必要になるため、洗濯を頻繁にしないものに使うなど、何に使うか注意しましょう。
薄手でやわらかい反面、肌触りが悪く、肌がデリケートな子供服作りには不向き。
かわいい生地だからとしても、生地と作るものとの相性で残念な仕上がりに。生地にも向き・不向きがあります。
シワが気になる・アイロンがけは面倒な人へ
シーチング生地はシワになりやすく、お手入れ必須です。ワッシャー加工、つまりシワ加工のシーチング生地を使えば、アイロンがけをしなくても済みます。
【使い道】シーチング生地の使い方
シーチングは、薄手な生地でシワになりやすいので使い道が気になりますよね。
何も考えずにシーチングを使って、あとになって「失敗した!」とならないように気をつけましょう。
- 薄手(約3.5~4オンスの厚み)のシーチングは透ける。
- 厚手(約5オンスの厚み)のシーチングは透けにくいが、まだ透ける。
生地の厚みを表す単位として「オンス」が使われます。
オンス数が低い=重量軽い=生地が薄い
(薄い)3.5<4<5(厚い)
生地の厚みが薄いということは、透けるということです。
シーチングでバッグを作ったら?
- 簡易バッグ:シーチングが向いている
- しっかりバッグ:シーチングは向かない
薄手のコットントートバッグはコンパクトにたためて、かさばらないので扱いやすいですが、生地が薄いとバッグの中身が透けて見えます。
厚手のシーチングでも中身がやや透けて見える程度の厚みなのでバッグの中身が見えないようにしたい場合は、8オンス以上のやや厚めのキャンバス生地を使うといいでしょう。また裏地のあるトートバッグではシーチングの薄さがカバーされます。
シーチング生地1枚のバッグには、エコバッグなどのトートバッグが向いています。
コップ入れなどの軽いものを入れる巾着なら裏地なしのシーチング生地1枚で作れます。しかし、レッスンバッグなどの重いものを入れるバッグにはシーチング生地1枚ではおすすめしません。
力、重さがかかるものは向かないので、裏地があっても強度が弱いです。
レッスンバッグや幼稚園バッグなどのしっかりしたバッグには、オックスやキャンバス生地の方が向いています。
シーチングでワンピースを作ったら?
シーチング生地は通気性もよく、ブラウスやワンピースなどの洋服は作れます。しかし、あまりおすすめはしません。
【おすすめしない理由】
- 縮みやゆがみが気になる
- シワになりやすい
- 透ける
デメリットでもご紹介した通り、粗い目で織られたシーチングは、肌触りもよくはありません。薄手の生地になるので透け感も気をつけなければなりません。
洗濯をすると天然素材のため、縮みやゆがみが出やすいです。洋服を作る前には十分に水を含ませてから仕立てたい生地です。
また、既製品のワンピースなどの洋服は水通しをしないで作られていることも多いので洗濯をしたらゆがんでしまった、ということも少なくありません。吸湿性・通気性に優れていて軽やかなワンピースでも洗濯後に型崩れしてしまうと残念ですよね。
シワになりやすく、アイロンがけが必須になるのでお手入れが面倒な人は気をつけましょう。
シーチングは、どちらかというと洋服の仮縫いの場面で多く使われる生地なのでデイリーウエアにはあまり向かないかもしれません。生地の厚みなどにもよりますが、安っぽい見え方になる場合も。
シーチング生地での洋服をそれでも着たい人には、シワ加工のシーチングをおすすめします。
- ハロウィンなどの仮装衣装
- お祭り衣装
- 運動会のハチマキ、タスキ
- 応援グッズ など
このようなイベント衣装などに使うのであれば色柄も豊富、通気性もいいのでシーチングも活用できそうです。
シーチングでエプロンを作ったら?
誰が使うエプロンか、によっても向き・不向きがあります。
- 子供には:シーチング、ブロード、オックスフォード
- 大人には:オックスフォード、リネン(麻)、ハーフリネン(綿麻)、ダンガリー
- アイロンがけが面倒な人には:綿ポリ
▶子供が使うエプロンには薄手の生地でも薄すぎることはありません。透けるのが嫌、など生地の薄さが気になる場合はオックスフォード生地もおすすめ。
しかし、スモックなどのような学校で着用する給食着(割烹着)は薄手生地が使われています。あまりゴワゴワしすぎても使いづらいかと思いますので子供には薄手のエプロンでも◎
▶大人が使うエプロンには薄手の生地だと物足りなさを感じるかもしれません。少しハリのある、カチっとした生地の方が安心です。リネン素材のエプロンだとカフェエプロンのようでおしゃれにきまります。
ダンガリーはデニムより薄手で耐久性があり、気を使わずにジャブジャブ洗えるのでエプロンにもおすすめの生地。
▶アイロンがけが面倒、シワが気になる人には、シーチングのエプロンはおすすめしません。シワがつきやすいシーチングは日ごろのアイロンがけが必須になるからです。
シワになりにくい生地でアイロンいらずの「綿ポリ」生地は、エプロンにおすすめ!
準備中【綿ポリ生地とは】シワになりにくい生地でアイロンいらず!比較・レビュー
このように、エプロンは薄地でも作れますが、シワが気になるデザインならシワができにくい素材がおすすめです。シーチング生地は目が粗く通気性はいいですが、シワができやすい・透けるなどの点を理解した上で使用するといいと思います。
取扱い注意点とお手入れ方法
- 強く引っ張らない
- 水通しする
- 干すときに直射日光を避ける
1.強く引っ張らない
平織は丈夫で摩擦に強いですが、シーチング生地は厚みが薄手。目が粗く織られているため、強い力で引っ張らないこと。
引き裂く力に対する抵抗力が弱いので変形したり、破れてしまう恐れもあります。
2.水通しする
水洗いによる縮みを防ぐため、裁断や製作をする前に生地をあらかじめ縮ませておくのが大切です。
綿やリネンなどの天然素材は縮みやすいので水通しをせずに作ると、その後の洗濯で型崩れしてしまいます。そのため、生地購入の注意点は、10cm~20cmほど多めに買っておくと安心。
シーチングはシワになりやすい生地です。水通しや日ごろのお手入れでシワ防止、摩擦防止のために小さめの洗濯ネットに入れて洗濯するのをおすすめします。
準備中 たったこれだけ!?洗濯ひと手間でグッと楽になるシワ対策【5選】
3.干すときに直射日光を避ける
直射日光による変色に注意しましょう。風通しのいい陰干しにするか、乾燥機で乾かすようにしましょう。
乾燥するとシワになりやすいので生地をよく伸ばして干しても、アイロンがけが必須。お手入れが面倒な人はシーチング生地で何を作るか、気をつけて仕立ててください。
日焼け、黄ばみを避けたい人は裏地などの目立たないところに使用することをおすすめします。
いろいろなシーチング
ほとんどは綿100%で作られているシーチング生地ですが、リネン製のものもあります。コットンシーチングは安価ですが、肌触りの良いリネン製の上質なシーチングは高価になります。
くったり、やわらかい風合いの肌触りのシーチングは着心地がよく、服地におすすめです。
綿100%でシワになりやすい、少しかための肌触りのシーチングは巾着や枕カバーなどの小物におすすめです。
仮縫い用シーチング
仮縫い用のシーチングを「生機(きばた)」ともいいます。
「生機(きばた)」とは、染色や仕上げ加工をする前の何も加工されていない布生地を指し、糊がついたままのため手触りはバリバリ、ゴワゴワとしています。
アパレル業界では仮縫いのサンプルそのもの、または試作品に使う布を「トワル」と言います。本縫いの前に、シーチング生地で試作品を作ってバランスなどを確認します。(「トワルチェック」と呼ぶ)
シーチングは練習用、試作用に活用されている生地です。
- とにかく安い値段
- 色、柄がないシンプルな生地で縫う過程が見やすい
- チャコペンやえんぴつの線が見やすい
- ミシンで縫った白色の糸でも見やすい
- 厚さ、ハリがちょうどいいので形になりやすい
通常のシーチングに比べ、さらに安いので値段だけ見て買ってみたら糊のついていたシーチング(きばた)が届いた、なんてことにならないように注意してください。
「仮縫い用シーチング」と手芸店にあるカラーシーチングは別物です。
カラーシーチングより薄手で素朴な風合いの仮縫い用シーチングは洋服など試しに形をつくるときに使われるので糊がついています。
リネンシーチング
リネン(麻)100%もあれば、ハーフリネン(綿麻)のものもあります。
- ブラウスやワンピース・スカートなどの服地
- ストールやエプロンのファッションアイテム
- クッションカバーやカーテンなどのインテリア用品
- カチュームやシュシュなどの服飾雑貨
- ランチョンマットや巾着などの入園入学グッズ
幅広く利用できるハーフリネンシーチングは、しなやかな手触りでほどよくハリ・シャリ感もあり、扱いやすい薄手のシーチング生地です。
生地の加工で表情豊かに
- ハンドワッシャー加工
- エアータンブラーワッシャー加工
同じシーチングでも生地の加工によって表情が変わります。もともとワッシャー加工されているので使用後のアイロンがけ不要もうれしいポイント!
▶ハンドワッシャー加工
全体的にナチュラルなシワ加工が入り、ハリのあるやわらかい風合い。洗いざらしのようなナチュラル感でサラっとした肌触り。
手もみ風のシワ加工のシーチング生地は、通常のシーチング生地より柔らかさがあります。
- シャツ、ブラウス、スカートなどの洋服
- はおりもの
- エプロン
- 目隠しカーテン、カフェカーテン
- 枕カバー、ソファーカバーなどのカバーリング
ほどよい厚さで柔らかく扱いやすいため、裁縫初心者の人でも縫いやすい生地です。自然なシワ感で肌にやさしい着心地。
薄手で、ギャザーも寄せやすい厚みで洋服からインテリアファブリックなど、幅広く使えます。
【ハンドワッシャー加工の比較】綿100%と麻100%のシーチングを比べても雰囲気が違ってきます。
シワになりやすい定番カラーシーチングとは違い、ワッシャー加工することで柔らかい肌触りになり、洋服に適した生地になります。
洗いざらしのようなシワ加工でアイロン不要になり、実用的な生地になります。
>【ハンドワッシャー加工シーチング】楽天市場で探す▶エアータンブラーワッシャー加工
空気の高い圧の力をかけ繊維をもみほぐし、柔らかいやさしい風合いを呼び戻して高級感のあるふんわりとした生地に仕上げます。
ワッシャー加工により、表面がわずかに毛羽立ち、独特なしっとり感に。
この加工はエアーを利用したワッシャーです。空気の力(風速60KM/H) 反物を衝突版にぶつけることにより、 繊維・糸を揉み解します。従い表面がわずかに毛羽たち軽くぬめりのあるふんわりと柔らかな独特の風合いに仕上がります。
更に柔軟加工との組み合わせも可能です。主に天然繊維(綿・レーヨン・麻類)とその混紡品に特に有効です。
「エアータンブラー加工」小野木繊維加工株式会社
くったりとした質感でやわらかく、ソフトな風合いです。洗いざらしのようなシワ感で心地よい肌触りです。
- シャツ、ブラウス、スカートなどの洋服
- エプロン
- ランチョンマット
- 目隠しカーテン、カフェカーテン
- 枕カバー、ソファーカバーなどのカバーリング
縫いやすく、クタッと柔らかいふんわり感があり、仕立て映えする生地です。洋服からインテリアファブリックなど、幅広く使えます。
シワになりやすい定番カラーシーチングとは違い、ワッシャー加工することで柔らかい肌触りになり、洋服に適した生地になります。
洗いざらしのようなシワ加工でアイロン不要になり、実用的な生地になります。
>【エアータンブラーワッシャー加工シーチング】楽天市場で探すスレキとシーチングの違い
「スレキ」という生地を知っていますか?
「スレーキ」ともいいますが、ポケットの裏布に使われる薄い生地を指します。スレキは、ジャケットやズボンなどのポケットの袋布に使われています。
【シーチング:見えないところに使用、安価、薄い】
この点からポケットの袋布はシーチング生地なのかと思っていました・・・
スレキは、目が密に織られ丈夫な生地です。そのためポケットに手を入れたときに肌触りがいいのでポケットの袋布にスレキ生地が多く使われています。
シーチングは、ざらつきがあり肌触りが悪く、生地の厚みが気になります。
また、織りが密なスレキ生地に対し、シーチングは織りが粗い生地です。
スレキ生地の特徴
スレキ(スレーキ) | |
---|---|
値段 | 表生地より安いことが多くコストを下げられる |
厚さ | 織りが密で丈夫なのに表に響かないほどの薄手 |
織り方 | 平織と綾織の2種類 |
主な用途 | ・ズボンやジャケットのポケットの袋布 ・洋服の裏地 ・マスク ・バッグや帽子の内布 |
- 綿100%:通気性がいい
- 綿+ポリエステル(TC):薄くて丈夫だが、通気性が悪い
スレキ生地には綿100%、綿とポリエステルの混紡(TC)と、さまざまな素材があります。生地を購入する場合は、素材と織り方をチェックしてください。
スレキの中でも平織の方が綾織より生地の厚さが薄手になります。(平織<綾織)
【スレキを使用する箇所】
- 綾織:強度を必要とする箇所(ズボンなどのよく使うポケットの袋布)
- 平織:あまり強度を必要としない箇所(洋服の裏地やジャケットのポケットの袋布)
スレキ生地以外で代用できる?
すぐに手に入りやすいシーチングとは違い、スレキ生地はどこにでも売っている生地ではないようです。
- シーチング:安価、縫いやすい
- ブロード:丈夫、なめらか
- ポプリン:破れにくい、やわらか
シーチングは、肌触りが悪く目も粗いですが、代用できます。しかし、力がかかるものは不向きな生地。薄手シーチングは強度が弱いので強度を必要とするズボンのポケットでは心配なところ。
代用するなら中厚のシーチングがおすすめですが、あまり厚すぎるとポケットの袋がゴワゴワします。すべりが悪く、もたつくので注意!
綿ローン生地も薄いので強度が弱いです。耐久性を考慮する必要がありますね。
その点、ブロードは織りが密でやわらかく、薄手なのに耐久性がある生地なのでおすすめ!ポプリンも薄手なのに耐久性が高く、とろみのある手触りです。
準備中 ブロード生地の特徴を詳しく見る
シーチング生地の魅力・縫いやすさ
- 裁縫の練習用に多めに欲しい人
- 予算をかけたくない、安く済ませたい人
- ミシンがなく、手縫いしやすい生地を探している人
この記事では、さまざまな種類のシーチングを紹介しました。種類豊富で安価、どこでもかんたんに手に入れやすいため、気軽にチャレンジしやすい生地です。
裁断しやすく、値段が手ごろなので作品作りの練習に使うのもおすすめです。試作品をまず作りたいな、と思う場合はシーチング生地でやってみましょう。
値段の高い生地で失敗したらどうしよう、となかなか先に進まなかった初心者さんも最初に使う生地に低価格のシーチングなら大きな痛手にならないかと思います。
また、「アイロンのあて布」としてシーチング生地を使用するのもおすすめです!