しっかり丈夫で型崩れしにくい入園入学グッズの定番、人気のキルティング(キルト生地)の特徴をまとめました。
日ごろキルトと触れ合い、入園入学グッズを製作・販売している私がいろいろな種類のキルト生地の魅力を詳しくご紹介します。
- レッスンバッグ、習い事バッグ、絵本バッグなどの通園通学かばん
- タブレットケース入れ、ピアニカケース入れ
- 水筒やランドセルなどの肩パッドカバー、抱っこ紐用よだれカバー
- 防災頭巾カバー、座布団
- カメラなどを入れるポーチ
- 鍋敷き、鍋つかみ(ミトン)
- アイス枕、アイスノン入れ
など、厚みや耐久性を活かしたさまざまな小物類、袋物にも使われています。
保温性があるのも特徴なので鍋敷きなどのキッチングッズにもおすすめの生地です。
アイテムを作るにしても向き・不向きがあります。生地の特徴を知ることで、どんな雑貨や小物をチョイスするといいんだろう、という基準になります。
「こんなアイテムには強度をしっかりさせた方がいいのかも」、などと既製品を選ぶのにも知っておいて損はありませんね。
キルティングとは
キルティングとは、2枚の生地の間に綿を挟み、重ねた状態で針と糸を使ってステッチをし、縫い合わせること。
縫い合わせた生地をキルティング生地、またはキルト生地ともいいます。
よく目にする表地+中綿+裏地の三層をステッチで押さえて作られるものは「ヨーロピアンキルト」の一種です。
ほかにも「ハワイアンキルト」など、さまざまな種類のキルティングが存在します。
キルティングは保温、防寒、装飾などが目的で作られたもの。キッチン小物から洋服、壁掛けなどの装飾をして楽しむアイテムまで幅広く使われています。
キルティング(キルト生地)の特徴
表・裏の2枚の生地の間に綿などをはさみ、マス目状にステッチで縫いおさえた生地。
三層のため、丈夫で型崩れしにくいのが特徴。
しっかりしているので重いものを入れるバッグ作りに大活躍します。色柄豊富で幅広い世代からさまざまなアイテムに使われています。
メリット
- クッション性がある
- 型崩れしにくい
- 丈夫なのに軽い
- 生地がやぶれにくい
- シワに強く、アイロン不要
重い荷物をいれても型崩れしにくいので丈夫に作りたいレッスンバッグにおすすめの生地です。
保温性があり、厚みがあるのに軽いのがうれしいポイント!このため、コートなどのアウターにもキルト生地は活躍しています。
手芸初心者さんや手作り苦手な方でも接着芯や裏地なしのキルト生地一枚でバッグが作れるのでチャレンジしやすいです。家庭用ミシンでも縫いやすい厚さです。
デメリット
- 厚手でかさばる
- 洗濯したあと、かわくのに時間がかかる
- 生地の種類が少なく、値段が高め
厚手でクッション性があり、丈夫なキルト生地ですが、その反面、乾燥時間が長くなるのが欠点。冬場の洗濯ではすぐにかわかないことも。
予備があれば、交代でつかえて安心。
中綿は、水分に弱く、縮みやすいので洗濯をしたときは、型崩れや縮みを防ぐためにもしっかり乾かすことが重要です。
私は洗濯後、表側・裏側とひっくり返して干しているので、夏場でも時間がかかってしまいます。冬場は特に注意!
【手作り前】取扱い注意点とお手入れ方法
手作りする前にキルト生地の取扱いを知って気をつけて使いましょう。
- 切りっぱなしのままにしない
- 水通しする
- 不良品に注意する
1.切りっぱなしのままにしない
手作りの注意点として、裁断後の生地の端を切りっぱなしにしたままにしておくと、ステッチのほつれが発生します。
また中綿が出てきてしまい、ボリュームが減ってきてしまうのでロックミシンやジグザグミシンで端の処理をしましょう。
2.水通しする
キルティングもコットンなどの天然素材を使用していれば縮み、ゆがむことがありますので裁断前に水に含ませておきましょう。
水通し前にロックミシンやジグザグミシンで端処理を忘れないように!切りっぱなしのままだと、中綿が出てきてしまいます。
生地購入の注意点は、生地の端がほつれて使えない場合もあるので10cm~20cmほど多めに買っておくと安心。
パッチワークキルトにするときにも、水通しをしている布としていない布が縫い合わさった場合、洗ったあとに収縮率が変わり、ゆがむことにもなります。
3.不良品に注意する
▶ 不良品かどうか、チェックする点
- 「目飛び」がひどいか、きれいか
- 布が折れてステッチされていないか
- 布が破れていないか
「目飛び」とは、縫った糸の目が飛んでしまうことです。
目飛びがひどいとステッチ糸が切れやすいので、整った縫い目になっているか、確認しましょう。
また、三層に重なっているキルト生地なので裏地がまっすぐ整っていないままステッチされている可能性もあります。
この写真は、実際に注文したキルト生地の裏面の様子です。裏面の布がゆがんだ状態でステッチされていました。
販売店に問合せをしたら無償できれいなキルト生地に交換していただけました。
【※注意点】
水通しや裁断前にしっかりチェックすることが大切です。使用後の交換はしてくれない可能性があります。注文したら、まず両面の確認を忘れないようにしてください!
発送前に販売店もチェックはしてくれていると思いますが、確認モレのこともあります。まずは不良品が届いたら販売店にお問い合わせしましょう。
キルト生地の種類・素材
表生地にする布によって特徴が変わります。
- オックスキルト
- シーチングキルト
- サテンキルト
- デニムキルト
- ブロードキルト
など、ベース素材によってさまざまな種類が存在します。
表生地で使われているオックスはハリのあるやや厚手の布。オックスキルトはしっかりしたキルト生地になります。やや薄手のシーチングキルトやブロードキルトに比べてハリがあり、値段も上がります。
ベース素材が何なのか、キルト生地を選ぶときにチェックしましょう。
さまざまなステッチの柄
ダイヤ柄(ひし形)が一般的なステッチの柄ですが、ほかの型でも表現できるキルティング加工。花模様や幾何学模様(きかがくもよう)など幅広いデザインが存在します。
アート性の高い見た目でも楽しめるパッチワークキルトやハワイアンキルトなどが有名です。
【全針・半針】ダイヤ柄のマス目の違い
キルト生地のダイヤ柄のマス目は一律の大きさではありません。
マス目の名称 | マス目のサイズ | サイズの比較 | 特徴 |
---|---|---|---|
全針キルト | 1マス:約1.7cm | マス目が小さい | しっかりした生地感 |
半針キルト | 1マス:約3.5cm | マス目が大きい | ふわっと、ふっくらした生地感 |
四角形の縫い目~縫い目までのステッチ幅の大きさを指します。
小さいアイテムを作る場合、マス目が大きい半針だと縫いにくくなります。
小さめのポーチや肩パッドカバーなどの小物類は、全針キルトのマス目が小さいタイプがおすすめ!しっかりとした生地感になります。
見た目の好みや作品のサイズ感で使い分けるといいですね。
>【全針キルト】楽天市場で探す >【半針キルト】楽天市場で探すキルティング加工される表地、裏地の素材
表地が同じ種類の生地でも裏面の素材が違うこともあります。
裏面にシーチングが使われることが多いですが、必ずしも絶対ではありません。特にネットショッピングで生地を選ぶときは、注意が必要です。
生地を購入するときに詳細に素材がわからない場合はお問い合わせをしましょう。
1枚布だけでは耐久性のない薄い生地でもキルティング加工をし、中綿を挟んで厚みを出すことで耐久性をあげることが可能になります。シワに強く、丈夫な生地に生まれ変わります。
シワがつきやすい綿ブロード生地をベースに使い、キルティング加工するとシワに強いキルト生地に。
このように、加工することで生まれ変わるのがキルト生地のおもしろいところですね。
ステッチ糸の色
ステッチ糸の色でも、生地全体の印象は変わりますね。
絵柄のあるデザインでは、ダイヤ柄(ひし形)が目立つか、どうかで印象が違います。
ダイヤ柄(ひし形) | 生地のイラスト(絵柄) |
---|---|
目立つ → | 目立たない |
目立たない → | 目立つ(浮き出る感じ) |
黒ベースの生地に白いステッチ糸が全体に縫われているとダイヤ柄(ひし形)が目立ち、ステッチがアクセントに。
生地ベースが明るい色味の場合、生成のステッチ糸でもなじみます。
生地ベースが濃い色・暗い色味の場合、ベースになじむ色のステッチ糸なのか、生成の色なのかで印象が変わりますので購入するときは確認しましょう。
裏面を見ると、生成以外の色のステッチ糸では色が目立つので製作するものによって印象が変わってしまいます。
あえて、目立つようなステッチの色を使って装飾として楽しむ場合もあります。
生地や商品が届いたら思っていたのと違うということのないように、したいですよね。ステッチの糸の色でも生地全体の印象が変わります。
キルトとキルティングの違い
キルティングは、保温のために綿を挟んだのが始まり。古代エジプトですでに使われていて、ヨーロッパの寒冷地で発祥したと言われています。
中に詰め物が入っている場合、詰め物の中綿や羽毛がずれないようにキルティング加工をします。
キルト | 布に綿を挟み、刺し子に縫った技法、縫ったもの |
キルティング | キルトトップ(表地)に綿を重ねた状態で刺し縫い、つまり縫い合わせること。 |
表地と裏地の間に中綿を入れ重ねた状態でキルティングしたものをキルトといいます。
キルトとパッチワークの違い
パッチワークは、紀元前3,400年からエジプトで使われていて、インドやパキスタン、アジア等でも伝統的に行われています。インテリアなどに人気で印象的な模様が多く、その場を華やかにしてくれます。
キルト | 布に綿を挟み、刺し子に縫った技法 |
パッチワーク | 布のハギレなどを縫い合わせて1枚の大きな布をつくる手芸技法 |
さまざまな色や柄、形の小さい布をはぎ合わせて1つの面をつくります。組み合わせ次第で世界で1つのオリジナルなパッチワークができあがります。ふわふわしたカラフルな色や柄の組合せの生地が魅力的ですよね。
パッチワークと中綿、裏地の三層に合わせてキルティングしたものをパッチワークキルトと呼びます。
キルティング素材のアイテム
実は、英単語”quilt”のキルトとは「羽毛などを詰めて刺し子に縫った掛け布団」を意味します。
▶ キルト(kilt)である男性向けの短いスカートのスコットランドの伝統衣装とは、まったくの別物。 |
キルトは、布団だけでなくさまざまなアイテムに活躍している万能生地です。
冬の季節にも
- 冬の定番キルティングコートは、1枚でサッと羽織っても保温性バッチリ!
- おしゃれを楽しめるキルティングスカートは、快適に暖かさを保つ冬ファッション!
- 柔らかくて軽いキルティングバッグで見た目もおしゃれに冬コーデを楽しめる!
最近ではダイヤ状(ひし形)のマス目以外のデザイン性のあるキルティングも多くなりました。
1アイテム持っているだけでおしゃれな冬ファッションになり、さらに保温性も保たれて冬には欠かせない素材ですね。
また、小学生の冬のお迎え、旗振り当番など寒さ対策にもキルティング素材を身につけていると暖かさを維持できます。
夏の季節にも
- 春夏用にサラッとしたキルティングラグは、お掃除もかんたん!
- 暑い季節でも羽毛布団ダウンケットは、蒸れずに快適に眠りに!
羽毛布団は、一般的に冬の季節のイメージがありますが、夏用羽毛布団「ダウンケット」もあります。
キルトの縫い目から熱が逃げやすいため、暑い季節でも蒸れずに快適な保温性のある羽毛ひざ掛け布団とも呼ばれています。
キルティングは、一般的に保温性がある素材なので「夏に羽毛布団?」と思うかもしれません。
キルト構造によって通気性のいいキルトもあります。これがタタキキルト。(平キルトや直キルトとも呼ばれる)
通気性のいいキルトも
タタキキルトとは、表地と裏地を直接ミシンで縫い合わせている縫い方のキルトのことです。直接縫い付けている部分には中綿や羽毛がない状態なので暖かさが逃げてしまいます。
入園入学グッズに使われるキルト生地はこの構造です。
蒸し暑い日や夏には熱を逃がしてくれるのでレッスンバッグなどのトートバッグは厚みがあるのに軽いままでいられます。
通年、使われているキルティングの入園入学バッグは保温性のメリットより、クッション性、軽い、丈夫さを目的としています。
キルト生地の魅力・衝撃から守るクッション性
- 乱暴に扱う子供がいて、すぐにバッグが破れてしまう
- 丈夫で厚みがあるのに軽い生地を探している人
- 裏地をつけずに1枚でかんたんにバッグを作りたい人
この記事では、さまざまな種類のキルト生地を紹介しました。中綿が入って三層になっているので耐久性があり、型崩れしにくいのでシワに強い生地です。
強度が必要なもの、重いものを入れることを想定するような小物・バッグ類に向いているキルト生地は、軽くて丈夫なので初めての入園入学用のレッスンバッグや習い事バッグにおすすめです。
厚みがある分、洗濯で乾きずらい欠点もありますが、予備のキルトバッグを準備すれば、へたれることなく長持ちします。
タブレットやスマホ、カメラなどの精密機器を衝撃から守るために、クッション性のあるキルト生地のポーチやケースがおすすめです!